ドラムを叩く

小さな女の子が荒んだ繁華街の交差点でドラムを叩いている。
今スネアを叩いた。
今タムを叩いた。
だがどこを叩いても肉片を叩いたようなペチンという音しか聞えてこない。それもそのはず、少女が叩いていたのは、冴えない父親のTシャツにプリントされたドラムセットの写真だった。その度に、樽のように丸くなった腹の肉が波を打つのだった。