茶室でライディーン

狭小スペースでのライブは昨今新たなる可能性も含め急速に表現手段の一環として普及してきているが、坂本龍一がある番組のインタビューで発言していたのが”茶室で四人くらいに聴かせるライブ”。しかもYMO結成当時からこの発想は聞いていたと横にいた高橋幸宏が補足。音楽がメディアの威力を取り込んで大いに栄えていた時代にそう考えるか!?僕が最近なんとなく本気で考えていた”自室に5〜6人くらい呼んでライブ演奏”さえも覆すこの発想力には恐れ入りました。。考えてみたら利休の造った2畳の茶室でのもてなしなんてコミュニケーションの極みとしてのパフォーマンスだ。あの時代にもっと音楽がリンクしていたら実際あそこで演奏会を、という発想も生まれていたかもしれない。だって建築的に新しい試みも成されて室内には掛け軸が飾られたり花が生けられたりしてギャラリーとしても成立していただろうし、菓子も様々な創作品があの場で披露されたにちがいない。とすれば残るは音楽と料理だけではないか。料理なら茶漬けくらいあそこで隠れて食べていた武将がいるかもしれない。いやまて、音楽もあったかもしれない。茶室で一人新しい創作を思案する利休のもとへ現れた一人の尺八吹き。私の尺八を聴いてほしいとの頼みを聞き入れる利休。2畳の茶室に響き渡る尺八の音。演奏が終わり澄み切った空間の切れ間から利休が一言。
「粋。」