生アミ陀仏

狂うクルー主催のライブイベントに行ってきました。4時から11時までの長丁場、豪華なミュージシャンが勢ぞろい。フロアがノイズで埋め尽くされると何故か90年代の新宿リキッドルームを思い出して懐かしさから薄ら笑いを浮かべていました(ていうか中原昌也全然変わってない!)。お客さんの反応の仕方もその頃と同じに見えました(一つ変わっていたのは携帯電話やデジカメでとりあえず撮ってから踊るというスタンス)。懐かしいというか作り手も受け手も何ら進歩していない実情を垣間見たような気さえしました。それがいいのか悪いのか僕にはわかりません。何でもかんでも古いものをほったらかしにしてどんどん進化していくのも鬱陶しいことがあるからです。その中でもやはりというか当然の如く異彩を放っていたのは ASTRO TWIN吉田アミ+ユタカワサキ)でした。本人たちの希望もあったのか、このユニットだけメインステージではなく、併設されているDJ&バーフロアのようなスペースで演奏が行われました。雰囲気というかテンポ感はCDで聴いたライブ音源を彷彿とさせるスタイリッシュな電子音と電子音的な声の掛け合いで特に新鮮味はありませんでしたが、驚異的だったのは吉田さんがマイクをはずして発声した瞬間でした。それは電気的な作用無しで初めて聴いた吉田アミの生ハウリングボイスでした。その声帯から直接僕の耳に声が届いた瞬間寒気がしました。まるで口と耳の間(そこは宇宙空間です)で声そのものが増幅されて脳に這入り込んできたようでした。非常に微細な音なのにマイクを通してスピーカーから聴こえてくる音と、通さずに聴こえてくる音の大きさはそんなに違っていないように感じました。元々ハウリングとはマイクやスピーカーなどの作用による一つの現象ですが、このハウリングボイスに関してはそういったPA装置が一切関与しない空間で成立する音響芸術(それは素敵なハプニング)なのではないかと思いました(マイクを通すことで電子音とうまく絡み合う音色もある)。体力的な問題が無ければ占い師のようにテーブルを挟んで向かい合って座り、1人20分ずつくらい声を聴かせるというカウンセリング的なパフォーマンス(ライブのタイトル-はい次の方どうぞー!)が出来たら面白いんじゃないかと勝手な妄想を膨らませたりもしました。短時間の演奏でしたが、終わってから細かく体が震えていることに気付いて(それまでの長丁場でバテ気味なせいもあり)椅子にへたり込んでしまいました。落ち着きを取り戻してメインステージに行くと灰野敬二率いるサンヘドリンのライブが終わるところでした。最後の狂うクルーのライブも思った以上の衝撃を受けたし、ノルウェーから来たJAZZKAMMER中原昌也とのユニットで出演していた)という二人組みが加わってのスペシャルセッションも「ノイズはノイズにあらず」を再認識出来た(マジ気持ちよかった!)し、他も脳を揺さぶる爆裂バンドばかりでしたが、やはり僕はライブや展覧会などでどんな「発見」が出来るかを期待しており、どれだけ我を忘れて踊れるかとか楽しめるかということをあまり求めていない(だからいつもこういうノリのイベントでは周りとのギャップを感じる)ということを自覚できたある意味大きな「発見」が出来たイベントでした。思い出したようにもう一つ書きますが、この日 OHPIA という文字通りOHPを3台使って壁にサイケな模様を投射するユニットがバーフロアの方でイベント中ライティングを担当していたんですが、そのセッティングを裏側から観ていました。OHPの他に何やらVJミキサーやらデジタル機材を導入しつつもOHPの上には透明の皿を乗せて液体を垂らしたり手で回したりするデジタルだかアナログだか判らない手作り感覚がなんとも楽しげで一緒に弄りたい衝動に駆られました(何せOHPが楽しそう)。思い返せばいろいろと発見したり楽しんだりしているなあと「再発見」に浸り始めてきたのでこの辺で筆を置かせていただきます(キーボードから手を離す)。

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そんな狂うクルーでサックスを吹いている安藤くんが再び metaphoric のライブに参加してくれます。ちょっと先の話ですが。。

4月14日(土) Save The Earth Vol.02@吉祥寺BLACK AND BLUE
18:00start 1000yen(+2drinks1000yen)
出演・mooooo,metaphoric 他3バンド

オルタナバンド mooooo 主催のライブイベントです。この日は安藤くんと、頻繁にライブやスタジオセッションに参加してくれている即興家の佐々木秀典くん(PC)が参加してくれる予定です。